血圧はいつ測る?家庭血圧の正しい測り方と135/85の見方

血圧はいつ測る?家庭血圧の正しい測り方と135/85の見方

家庭血圧は朝と夜のいつ、何回測ればよいのか。正しい姿勢、135/85mmHgの意味、測るたびに違う理由、受診の目安を2025年版ガイドラインと研究に基づいて解説します。

健康診断で血圧が高かった。家で測り直すと正常だった。別の日には、同じ血圧計なのに数値が大きく違った——。

血圧は、体重のように一日中ほぼ同じではありません。時刻、緊張、運動、会話、姿勢、尿意などで絶えず変化します。そのため、一度の数字だけで「高血圧だ」「もう大丈夫だ」と判断すると、本当の状態を見誤ることがあります。

最初に結論をお伝えします。

家庭血圧は、上腕式の血圧計を使い、朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食と服薬の前、夜は就寝前に測ります。椅子で1〜2分安静にしてから、原則2回測って平均を記録してください。朝と夜を7日間、少なくとも5日間続け、その平均が上135mmHg以上または下85mmHg以上なら、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

この記事では、家庭血圧の正しい測り方、135/85という数字の意味、測定値が安定しないときの確認点、受診を急ぐべき症状まで解説します。

先に確認:家庭血圧を正しく測る8つのポイント

まずは、次の条件をそろえます。

項目基本の測り方
血圧計精度検証済みの上腕式を選ぶ
起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬前
就寝前
測る前椅子に座って1〜2分安静にする
姿勢背もたれを使い、足を組まず、両足を床につける
力を抜いて台へ置き、カフを心臓の高さにする
回数1機会に原則2回。平均を使い、すべて記録する
期間朝・夜それぞれ7日間、少なくとも5日間

日本高血圧学会は、家庭血圧を朝と夜に測り、1機会に原則2回測定する方法を示しています。診断や薬の効果判定には、朝・夜それぞれ7日間、少なくとも5日間の平均を用います【1】

2025年に公表された「高血圧管理・治療ガイドライン2025」でも、診察室だけでなく家庭を含む診察室外血圧が重視されています【2】

毎回まったく同じ数字にすることが目的ではありません。同じ条件で測り、変化を比較できる記録にすることが目的です。

なぜ病院だけでなく、家でも血圧を測るのか

血圧は一回の測定では分かりにくい

血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管へかかる圧力です。

  • 上の血圧:収縮期血圧。心臓が収縮したときの圧力
  • 下の血圧:拡張期血圧。心臓が広がって血液をためるときの圧力

一日の中でも、起床、活動、食事、入浴、睡眠などに伴って上下します。緊張しているときと、静かな自宅で休んでいるときでも違います。

家庭血圧は、決まった条件で繰り返し測れるため、診察室の一回の値では捉えにくい普段の状態を確認できます。ただし、家庭用血圧計で測れば自動的に正確になるわけではありません。姿勢やカフの選び方が違えば、家庭でも測定誤差は生じます。

「白衣高血圧」と「仮面高血圧」を見つけやすい

診察室と家庭の血圧を比べると、次の四つの状態が見えてきます。

診察室血圧家庭血圧考えられる状態
正常正常正常血圧
高い正常白衣高血圧
正常高い仮面高血圧
高い高い持続性高血圧

病院で緊張して血圧が上がる「白衣高血圧」だけでなく、病院では正常でも家庭では高い「仮面高血圧」があります。後者は、診察室の測定だけでは見逃される可能性があります。

2024年までの26研究、12万9,061人をまとめたメタ解析では、仮面高血圧の人は正常血圧の人より、全死亡と心血管疾患のリスクが高い関連を示しました。ただし、これは主に観察研究の統合であり、家庭血圧を測るだけでリスクが下がることを証明した研究ではありません【3】

家庭血圧の役割は、病気を自己診断することではなく、医師がより実態に近い情報で判断できるようにすることです。

家庭血圧135/85mmHg以上は何を意味する?

日本の2025年版ガイドラインでは、高血圧の診断基準は次のように整理されています。

測定場所高血圧の診断基準
診察室上140mmHg以上、または下90mmHg以上
家庭上135mmHg以上、または下85mmHg以上

「上と下の両方が超えたとき」ではありません。どちらか一方でも基準以上なら、高血圧の範囲です。家庭血圧は診察室血圧より低い基準が使われます【4】

ただし、135/85mmHgは、たまたま一回だけ出た数字で診断するための境界ではありません。朝と夜を複数日にわたって測った平均を使い、病歴、年齢、持病、診察室血圧などと合わせて医師が判断します。

「診断基準」と「治療目標」は別の数字

ここは特に混同しやすい点です。

  • 家庭血圧135/85mmHg以上:高血圧を診断する基準
  • 家庭血圧125/75mmHg未満:2025年版ガイドラインが高血圧治療中の成人に示す一般的な降圧目標

治療目標は、高血圧と診断された人が治療によって目指す数字です。診断の境界とは役割が違います。また、体調、立ちくらみ、持病、薬の副作用などによって個別の調整が必要です。

薬を飲んでいる人は、家庭血圧が目標より高い、または低いからといって、薬の量や飲む時刻を自分で変えないでください。記録を主治医へ見せて相談します。

家庭血圧の正しい測り方

1. 精度が確認された「上腕式」を選ぶ

腕にカフを巻く上腕式の自動血圧計が第一候補です。手首式は携帯しやすい一方、手首の高さや角度の影響を受けやすいため、使う場合は説明書の姿勢を特に厳密に守る必要があります。

「医療機器認証」と、実際に標準化された手順で精度を検証したことは同じ意味ではありません。購入前にメーカー名と型番を確認し、検証済み機器のリストで調べる方法があります。国際的な専門家団体STRIDE BPも、家庭用には精度検証済みの上腕式を推奨しています【5】

カフには対応する腕周囲があります。腕に対して小さすぎるカフは高く、大きすぎるカフは低く出る可能性があるため、説明書の範囲を確認してください。

2. 朝は「起床後1時間以内」に測る

朝は、次の順番が基本です。

  1. 起床する
  2. トイレを済ませる
  3. 椅子に座って1〜2分安静にする
  4. 朝食、コーヒー、喫煙、運動、降圧薬より前に測る

服薬前に測るのは、薬をやめるという意味ではありません。処方された朝の薬を飲む前に測り、測定後は指示どおり服用するという順番です。

起床後すぐに家事や身支度を始めると、活動の影響が加わります。血圧計を寝室からトイレまでの動線に置き、「トイレの後に測る」と決めると続けやすくなります。

3. 夜は「就寝前」に測る

夜は、入浴、飲酒、食事、運動などの影響を受けます。就寝前の落ち着いた時刻に、1〜2分座ってから測ります。

生活上、毎日同じ順番にできない日もあります。その場合は測定を諦めるのではなく、「飲酒あり」「入浴直後」「運動後」など、普段と違う条件を一緒に記録してください。

大切なのは、数字が低く出そうな時間を探すことではありません。できる範囲で条件をそろえ、実際の生活の中で何が違ったかを医師が確認できるようにします。

4. 背中・足・腕を支え、測定中は話さない

椅子へ深く座り、次の姿勢を作ります。

  • 背中を背もたれにつける
  • 足を組まず、両足の裏を床につける
  • 腕の力を抜き、机やクッションで支える
  • 上腕のカフを心臓と同じくらいの高さにする
  • カフは原則として素肌に巻く
  • 測定中は話さず、スマートフォンを操作しない

米国心臓協会の科学声明は、背中を支えない、足を組む、腕を心臓より低くする、会話する、膀胱に尿がたまったまま測るといった条件が、測定値を高くする可能性を整理しています【6】

正しい姿勢は、数字を低くする裏技ではありません。測定に混ざる余計な影響を減らすための標準化です。

5. 原則2回測り、都合のよい数字だけを選ばない

1機会に2回測り、その平均を朝または夜の値として使います。

たとえば、朝の2回が142/88mmHgと134/82mmHgなら、平均は138/85mmHgです。低かった2回目だけを記録するのではなく、両方と平均を残します。

測るたびに不安になって3回、5回、10回と繰り返すと、低い値だけを採用したくなったり、測定そのものがストレスになったりします。主治医から別の指示がなければ、原則2回で終えます。

7日間の平均はどう計算する?

朝と夜を分けて平均します。まずは、次のような表で記録してください。

朝1回目朝2回目朝平均夜1回目夜2回目夜平均メモ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
7日目

計算は次の順です。

  1. 毎朝の2回を平均する
  2. 7日分の「朝平均」をさらに平均する
  3. 夜も同じように平均する
  4. 朝平均と夜平均のどちらかが135/85mmHg以上なら相談する

測れなかった枠を推測で埋める必要はありません。5日以上の実測値を集め、欠測した日は空欄にします。アプリや血圧計が平均を自動計算する場合も、期間と朝・夜の分け方を確認してください。

一回だけ高かったとき

慌てて深呼吸を繰り返したり、何度も測り直したりせず、まず姿勢とカフを確認します。1〜2分落ち着いて、予定どおり2回目を測り、どちらも記録してください。

強い症状がなく、極端に高い値でもなければ、その一回だけで結論を出さず、翌日以降も同じ条件で続けます。

血圧が測るたびに違う7つの理由

1. 測る時刻が違う

朝と夜では体の状態が異なります。昨日の朝と今日の夜を比べるより、朝は朝、夜は夜で変化を見ます。

2. 測る直前に動いた

階段、掃除、入浴、運動の直後は血圧や脈拍が変わります。落ち着いて座る時間を作ります。

3. 会話やスマートフォン操作をした

話す、笑う、ニュースを見て反応するなど、測定中の刺激が加わります。測定の1〜2分だけは静かにします。

4. 足を組んだ、腕を浮かせた

筋肉へ力が入ったり、腕の高さが変わったりします。椅子と机の高さを調整し、毎回同じ場所で測ります。

5. カフの位置・サイズが合っていない

厚手の服の上から巻く、袖をきつくまくり上げる、カフが緩いといった使い方は避けます。説明書どおりの位置と締め方にします。

6. 寒さ、尿意、痛み、ストレスがある

体調や環境も血圧に反映されます。異常値として消すのではなく、メモを残すと原因を振り返りやすくなります。

7. 不整脈などで自動測定が安定しない

脈が不規則な場合、自動血圧計ではエラーや大きなばらつきが出ることがあります。不整脈表示が繰り返し出る、動悸、めまい、失神がある場合は、記録と血圧計を持って医療機関へ相談してください。

どの数字なら病院へ行く?

平均が135/85mmHg以上なら医療機関へ相談する

朝または夜の家庭血圧の平均が、上135mmHg以上または下85mmHg以上なら、高血圧の診断基準に当てはまります。症状がなくても、記録を持って医療機関へ相談してください。

高血圧は自覚症状がほとんどないまま、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などのリスクを高めます。頭痛がない、体調がよいという理由だけでは除外できません。厚生労働省も、家庭用血圧計で日々測ることを高血圧予防の観点から重要としています【7】

予約時には、次のものを用意すると状況を伝えやすくなります。

  • 5〜7日以上の朝・夜の記録
  • 服用中の薬とサプリメントの一覧
  • 健康診断の結果
  • いつから高くなったか、症状があるかのメモ
  • 可能なら使用している血圧計本体

180/120mmHgを超え、強い症状がある場合は救急要請を考える

上180mmHg超または下120mmHg超の値が出たら、少なくとも1分待って正しい姿勢で再測定します。

再測定でも同程度に高く、次のような症状がある場合は、脳卒中や心臓・大動脈の緊急疾患などを否定できません。自分で運転せず、119番へ連絡してください。

  • 胸の痛み、強い息苦しさ
  • 突然の激しい頭痛
  • 背中の強い痛み
  • 顔や手足のしびれ、力が入らない
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 見え方の急な異常
  • 意識がもうろうとする、けいれん

症状がなくても、再測定で180/120mmHgを超える状態が続く場合は放置せず、速やかに医療機関へ連絡して指示を受けてください【8】

妊娠中・産後は判断基準や緊急性が異なります。血圧上昇に頭痛、見え方の異常、みぞおちの痛み、急なむくみなどを伴う場合は、自己判断せず産科へ連絡してください。

記録を続けるための仕組み

血圧計を「測る場所」に置く

しまい込むと、取り出すこと自体が負担になります。椅子、机、記録用のペンと一緒に定位置を作ります。カフを巻いたまま保管できる機種なら、自分の腕が入る輪にしておくと準備を減らせます。

すでにある行動と結びつける

  • 朝:トイレの後に測る
  • 夜:歯磨きの前に測る
  • 記録:2回目が終わったらすぐ入力する

時刻だけで覚えるより、毎日行う行動を合図にすると続けやすくなります。

一日の数字で一喜一憂しない

家庭血圧は成績表ではありません。高い数字を隠すより、そのまま残す方が役に立ちます。

「昨日より高いから失敗」と考えず、5〜7日間の平均と長期の傾向を見ます。測定が不安を強めて生活へ支障が出る場合は、回数を自己流で増やさず、主治医へ適切な測定頻度を相談してください。

血圧を下げる生活習慣は、測定と分けて考える

正しく測ることは、高血圧を見つけ、治療の効果を確かめるために重要です。しかし、測定そのものが十分な治療になるわけではありません。

高血圧の予防・管理では、食塩を減らす、無理のない範囲で身体活動を増やす、飲酒量を見直す、禁煙する、適正体重を目指す、睡眠を整えるといった対策が検討されます。薬が必要な人では、生活改善だけに置き換えることはできません。

日本人では、特に食塩の過剰摂取が重要な要因です。ただし、血圧が高かった翌日に水だけを大量に飲む、極端に食事を抜くといった方法は適切ではありません。

具体的な行動は、次の記事も参考にしてください。

治療中は、急に運動量や食事を変える前に、病状と薬に合う方法を主治医へ確認してください。

よくある質問

家庭血圧は右腕と左腕のどちらで測りますか?

最初は医療機関で左右差を確認してもらい、その後は医師から指定された腕、または一貫して同じ腕で測ります。左右で繰り返し大きな差が出る場合は、自己判断で低い方を選ばず相談してください。

1回目と2回目の差が大きいとき、3回目も測るべきですか?

まず2回とも記録します。原則2回が基本ですが、差が大きい状態が何日も続く、エラーが頻発する場合は、カフ、姿勢、機器を確認し、主治医へ相談してください。都合のよい値が出るまで測り続ける方法は避けます。

朝だけ測ってもよいですか?

朝だけでも情報は得られますが、診断や治療評価では朝と夜の両方が推奨されます。まず一週間は朝・夜をそろえ、その後の頻度は主治医と決めてください。忙しくて一方しか測れなかった日も、測れた値はそのまま記録します。

血圧は服の上から測ってもよいですか?

原則としてカフは素肌に巻きます。厚い服の上から巻いたり、袖をきつくまくって腕を締めつけたりしないでください。薄手の衣類でも、機器の説明書に従うのが安全です。

お風呂の前と後、どちらがよいですか?

就寝前の落ち着いた状態で、毎日できるだけ同じ条件にします。入浴直後は血圧が変化しやすいため避け、十分に落ち着いてから測ります。主治医から測定時刻を指定されている場合は、その指示を優先してください。

脈拍も記録した方がよいですか?

血圧計に表示されるなら、一緒に記録すると診察の参考になります。ただし、脈拍の一回の数字だけで病気を判断できません。不整脈の表示が繰り返し出る、動悸、胸痛、めまい、失神がある場合は医療機関へ相談してください。

スマートウォッチで血圧を測れますか?

カフを使わない機器の血圧表示は、機種によって測定原理、校正、精度検証が異なります。高血圧の診断や薬の調整には、検証済みの上腕式血圧計を基本とし、ウェアラブル端末だけで判断しないでください。

家庭血圧が正常なら、健康診断で高くても放置してよいですか?

放置は勧められません。白衣高血圧の可能性はありますが、将来、持続性高血圧へ移行することもあります。家庭の記録を持参し、医師に評価してもらい、定期的に確認してください。

まとめ:正しい一回より、同じ条件で続けた平均を見る

家庭血圧の要点を整理します。

  • 精度検証済みの上腕式血圧計を選び、腕に合うカフを使う
  • 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食・服薬前に測る
  • 夜は就寝前に測る
  • 1〜2分安静にし、背中・足・腕を支え、測定中は話さない
  • 1機会に原則2回測り、すべて記録して平均を使う
  • 朝・夜を7日間、少なくとも5日間続ける
  • 家庭血圧の平均が上135mmHg以上または下85mmHg以上なら相談する
  • 診断基準の135/85と、治療目標の125/75未満を混同しない
  • 薬は自己判断で増減・中止しない
  • 180/120mmHgを超え、胸痛、息苦しさ、麻痺などがあれば119番へ連絡する

今夜は、血圧計を椅子と机のある場所へ出し、カフの対応腕周囲を確認してください。明日の朝、トイレの後に1〜2分座り、2回測って両方を記録します。まず7日間。同じ条件で集めた数字が、健康状態を知るための実用的な材料になります。

ハビタスでは、朝と夜の測定を生活の合図に結びつけ、続けられた日を記録できます。高い数字を責めるためではなく、医療者へ正確に伝え、自分に合う健康習慣を作るために記録を使っていきましょう。

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