じゃがいもは好きだけれど、糖質が多そうで少し気になる。健康のためには、食べる回数を減らした方がよいのでしょうか。
じゃがいもには、でんぷんに加えて、ビタミンC、カリウム、食物繊維も含まれます。そして、同じじゃがいもでも、ゆでたものとフライドポテトでは、食事の中での役割が変わります。
健康を考えるときの手がかりは、じゃがいもを食べるかどうかだけでなく、どう調理して、何と組み合わせるか。 栄養成分と人を対象にした研究を見ていくと、いつもの食卓で工夫できることが見えてきます。
じゃがいもの栄養は、糖質だけではない
じゃがいもは、主に炭水化物からエネルギーを取る食品です。ただ、「糖質のかたまり」と考えると、ほかの栄養を見落としてしまいます。
皮をむいてゆでたじゃがいも100gには、炭水化物16.9gのほか、食物繊維3.1g、カリウム340mg、ビタミンC18mgが含まれます。脂質は0.1gと少なく、エネルギーは71kcalです【1】。
生の状態だけでなく、加熱して食べる状態でも、複数の栄養素を取れるのが、普段の食事で使いやすいところです。皮を食べなければ栄養がなくなる、ということもありません。
一方、たんぱく質は100g当たり1.7gです。じゃがいもだけで一食を済ませるより、魚、肉、卵、大豆製品などを組み合わせる方が、食事を整えやすくなります【1】。
ゆでる・揚げるで、同じ100gでも違う
文部科学省の食品成分データベースで、調理後の可食部100g当たりを比べてみましょう。
| 栄養成分 | 皮なし・水煮 | フライドポテト(市販冷凍食品を揚げたもの) |
|---|---|---|
| エネルギー | 71kcal | 229kcal |
| 脂質 | 0.1g | 10.6g |
| 炭水化物 | 16.9g | 32.4g |
| 食物繊維 | 3.1g | 3.1g |
表はそれぞれの食品の成分値です。同じ重さでも、揚げたものは水分が少なく、油が加わるため、エネルギーや脂質に大きな差があります。実際の商品や家庭料理では、切り方、油、調理条件によって数値が変わります【1】【2】。
ここで大切なのは、「揚げるとすべての栄養がなくなる」わけではないことです。食物繊維などが含まれていても、油や食べる量まで含めて考える必要があります。栄養素が一つあることと、食事全体として取り入れやすいことは、同じではありません。
100gは比較のための量で、一律に食べるべき量ではありません。パッケージに栄養成分表示がある場合は、実際に食べる量に合わせて確認してください。
20万人超の研究では、調理法によって結果が分かれた
栄養成分の違いは、長期の健康を調べた研究でも注目されています。
2025年に医学誌『BMJ』で公表された研究は、米国の三つの集団、計205,107人を追跡し、じゃがいもの摂取と2型糖尿病の発症との関係を調べました。フライドポテトを食べる頻度が週に3食分多いことは、発症リスクが相対的に約20%高いことと関連していました。一方、焼く・ゆでる・つぶす調理のじゃがいもをまとめた摂取量には、発症リスクとの明確な関連が見られませんでした【3】。
20%は相対的な差で、発症する人の割合が20ポイント増えるという意味ではありません。また、これは食生活を追跡した観察研究です。生活習慣などを調整しても、フライドポテトそのものが原因だと断定したり、日本の食卓に同じ数字を当てはめたりはできません。
それでも、この結果は「じゃがいもは全部同じ」と扱わず、調理法も見る理由になります。日常では、フライドポテトに偏っているなら、ゆでる・蒸す料理も選べるようにする。禁止する食品を増やすより、普段の作り方を一つ増やす方が実行しやすいでしょう。
「何の代わりに食べるか」も大切
同じ研究では、じゃがいもの一部を全粒穀物に置き換える食べ方が、より低い発症リスクと関連することも推定されました。これは実際に置き換えてもらった試験ではなく、食事データからの推定です【3】。
食卓で生かすなら、じゃがいもだけに主食を任せず、麦ご飯や全粒粉パンなども使い分ける、という考え方になります。「体によさそうな一品」を毎回足すことより、食事の中でどこに使うかを決める。その方が、量も組み合わせも考えやすくなります。
ご飯とじゃがいもは一緒に食べてもいい?献立の中の量を見る
肉じゃがの日に、ご飯を食べてはいけないわけではありません。大切なのは、じゃがいもも炭水化物を含む食品だと知ったうえで、一食の中に組み込むことです。
たとえば、いつものご飯に大盛りのポテトサラダを足す日と、じゃがいもの量に合わせてご飯を少し小盛りにする日では、食事全体の量が変わります。逆に、少量のじゃがいもが汁物に入っている程度なら、それだけを理由に主食を大きく減らす必要はありません。
じゃがいもを多く使う日は、ご飯やパンも含めて、炭水化物を取る部分をまとめて見る。 そのうえで、主菜と野菜のおかずをそろえると献立を作りやすくなります。
| じゃがいもの使い方 | 献立の組み合わせ例 |
|---|---|
| ゆでたじゃがいもを主食の一部にする | 魚のソテー+じゃがいも+ブロッコリー。ご飯も食べるなら、両方の量を調整する |
| 肉じゃがをおかずにする | ご飯+肉じゃが+小松菜のおひたし。いもの量と肉の量を見て盛り付ける |
| スープの具にする | じゃがいも・豆・キャベツのスープ+パン。いもが少量なら、普段の主食と組み合わせる |
量の感覚がつかみにくい場合は、食べる状態のじゃがいもを一度だけ量り、いつもの器で100gがどのくらいか確かめてみてください。毎回計算し続けるより、自分がよく使う一皿の量を知ることが役立ちます。
必要な食事量は体格や活動量によって変わります。空腹が強いのに、じゃがいもを食べたからと主食を抜く必要はありません。
揚げなくてもおいしい、三つの食べ方
研究の結果を毎日の料理に生かすために、手の込んだレシピを覚える必要はありません。まずは、ゆでたじゃがいもを出発点にすると、使い回しやすくなります。
温かいまま、酸味と香りで味をつける
皮をむいて食べやすい大きさに切り、中心まで柔らかくゆでます。湯を切ったら、少量のオリーブオイル、レモン汁、黒こしょうで味を調えます。
油を使わないことを目標にしなくても構いません。最初に少量を加え、味を見てから調整すると、量を把握しやすくなります。バターを使う場合も、何となく足し続けず、香りを楽しめる量を探してみてください。
ポテトサラダは、じゃがいも以外の具も主役にする
ゆでたじゃがいもに、きゅうり、玉ねぎ、ゆで卵などを組み合わせます。マヨネーズは少しずつ混ぜ、酢やからし、こしょうでも味を調えると、自分の好みに合わせやすくなります。
ポテトサラダという料理名だけで、健康的かどうかは決まりません。じゃがいもだけを大量のマヨネーズであえる場合と、複数の具を混ぜて味付けを調整する場合では、中身が違います。市販品なら栄養表示と実際に食べる量を確認しましょう。
野菜を取るつもりで、毎回ポテトサラダだけを選ぶより、トマトや葉物のおかずも組み合わせると、食品の種類を増やせます。
スープに入れて、豆や野菜と一緒に食べる
じゃがいも、キャベツ、玉ねぎを煮て、加熱済みの豆を加えます。最後に味を見て、スープの素や塩を調整します。具を足すたびに調味料も増やすより、食べる直前に確かめる方が、味付けを整えやすくなります。
野菜を切る時間がない日は、冷凍野菜を使ってもよいでしょう。「じゃがいものために別のおかずを作る」より、いつものスープの具にする方が、買った後の使い道も決めやすくなります。
芽と緑色の部分は、加熱前に取り除く
じゃがいもを使うときに、栄養より先に確認したいのが、芽や緑色の部分です。これらには、天然毒素のソラニンやチャコニンが多く含まれることがあります。
農林水産省は、芽とその周辺をしっかり取り除き、緑色の部分がなくなるまで皮を厚くむくよう案内しています。ゆでたり、電子レンジで加熱したりしても、毒素が十分減るとは期待できません【4】。
買うときは、芽が出ているものや緑色になったものを避けます。保存は光を避け、涼しく通気性のよい場所へ。紙袋などを使い、長く置きっぱなしにしないよう、使う分を買うのが実用的です【5】。
皮ごとの料理を楽しむ場合も、まず状態を確認してください。栄養のために皮を残すことを優先する必要はありません。
また、腎臓病などでカリウム制限を受けている場合や、糖尿病などで食事療法を受けている場合は、この記事の献立例より、医師・管理栄養士による個別の指示を優先してください。
次の一皿は、調理法から選んでみる
じゃがいもを健康的に食べるために、食卓からなくす必要はありません。炭水化物を取る食品として量を見て、主菜や野菜を組み合わせる。そして、揚げ物ばかりになっているなら、ゆでる・蒸す料理を一つ試す。そこから始められます。
次にじゃがいもを買うときは、「魚に添える温かい一皿にする」「豆入りスープの具にする」と、使う料理まで決めてみてください。食材の名前だけで健康を判断せず、調理法と組み合わせを選ぶことが、毎日の食事を整える手がかりになります。
※本記事は2026年10月12日時点で確認した研究・公的資料に基づく、一般的な健康・栄養情報です。個別の診断や治療を行うものではありません。治療中の病気や食事制限がある場合は、医師・管理栄養士による個別の指示を優先してください。





